キミの螺旋
その後も涙は乾く事なく流れ続けた。

そのままサラと歩いて家に戻る。道行く人が驚いて見ていた気もするけど、涙を止める事はできなかった。

「トーキにさっきの話し言うの?私的には…言わない方がいいんじゃないかなって思う」

サラが静かに言った。

「言わないよ…記憶が戻ったって事は言うかもしれないけど…」

「そう…その方がいいね」

サラに言われなくても藤紀に言うつもりはなかった。
藤紀を逃げや頼るだけの場所にしたくない。大切にしたいから…

それにいくら犯人を憎んでいるって言ったって…サラの言う通り何にも出来ないの。

せいぜい恨み事を綴った手紙を送りつけてやるくらいだと思う…
会いたくないし、顔も見たくない。

だからこんな風に人を憎んでる汚い感情を藤紀に知られたくないし心配もさせたくなかった。

何にも言わなくてもいいの…好きな人だからって言えない事があってもいいよね?

秘密なワケじゃないけど…しまっておくの。

あたしとサラが家に戻ると、すでに夕方だった。
藤紀は…学校からまだ帰ってない。

サラと二人で夕飯を作り食事を済ませた後も、あたしは藤紀が帰ってくるのを待った。

だけど藤紀は戻らなかった…
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