キミの螺旋
あたしの予想…希望はみんな外れた。
藤紀は朝早く出掛け、夜遅くに帰ってくる。

あたしはサラに言ってみた。

「藤紀…最近忙しいのかな…?」

「あら?聞いてない?試験があるって言ってたけど…」

「そう…なの…?」

少しショックだった。サラには言ったのに、あたしには教えてくれなかったのかな…?

ううん、きっと言う間がなかったんだよね!

試験が終わったら遊びに行ったりできるかな…?


それから10日経っても同じ屋根の下に住んでるのに藤紀とは話しもできなかった。
…っていうか…まるで無視されてるみたいな気さえする。

それは日を追うごとに明らかになっていって、声をかけてもほとんど返事もしてくれなくなった。

…どうすればいいの?


今夜サラは店に行っていて家にはあたし一人だった。そして今夜も藤紀は深夜に帰ってきた。

声を交わす事なく、あたしの顔も見ずに…やはり部屋へと入ってしまった。

あたしはどうしようもなくて、これ以上藤紀に無視されるのが怖くて

ドアの外から話しかけた。

「藤紀…聞こえてる?忙しいのはわかってるけど話しがしたいよ……どうして無視するの?あたしの事、嫌いになっちゃった…?」
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