キミの螺旋
監禁されていた緊張が解けたのか凛は高熱を出していた。

オレは遠慮がちに凛の手を握った。
凛も意識があるのかないのかわかってない様子だった…

でもオレの手を握り返してきた。

それだけでも嬉しくて…凛が生きてた事が嬉しくて
それだけでも十分だったのに、凛はオレに言ったんだ。


「…好き…」


オレは感情を押さえる事ができなくて…
凛がいとおしくなって

凛にキスをした。


そして呟いた。

「オレも凛が好きだよ…」

そう言うとオレは凛を抱きしめた。
胸が苦しくなって強く強く凛を抱きしめた。

少しでも力を緩めると、また凛がどこかに行ってしまう気がしたから。

熱を帯びて熱い凛の身体…前に抱きしめた時よりも監禁によって痩せ細った凛の身体を

壊れそうなほど抱きしめて離さなかった。
凛の熱さがオレにも移ってくるみたいだ…

それによって感情を押さえられない…

…好きだって

どうしようもないくらい好きなんだって

オレの中の【陸】が叫んでいた。





…じゃあ【藤紀】は?


急速に冷めてゆく自分に驚いた。
今までの熱さがウソみたいに冷静になる。


'オレ'は何者なのか
よく考えろ…!
< 267 / 398 >

この作品をシェア

pagetop