キミの螺旋
   ゴメンな
  愛せなくて


一生誰かを好きになったりしないって、もう恋なんか出来ないんだって…

人を殺した時に理解していた。

なのに今がこんなに平穏で、ある程度自由に生きていられる事がオレを油断させた。

だから恋をした。

凛はオレが守る為に出会ったんじゃないかって思い込むくらいに。

でもダメなんだ。
【陸】としてはムリだし【藤紀】としては…将来の結婚相手は親父が決めている。

たった数年…寂しいからって凛と付き合うような器用な真似はできないし

一度決めた人が出来たら一生かけてでも幸せにしたいって思う。

それに…完全な無罪放免って訳じゃないんだ…もしかすると数年後には塀の中に戻されるかもしれない。

そうなったら…二度と外には出られないだろう。

その可能性があって、どうして人を愛せるんだ?

まだ間に合う
まだ諦められる

オレの中に凛が侵食してこないウチに手を打て!

「…っ…!」

声を出すな…
凛に気付かれる…!

泣いてるのを彼女に知られるな…!


嫌われたいならいっそのこと…過去をバラせばいいんだ。

オレが何をしたか、本当はどんな人間かって事を

凛に言えばいいだけなんだ…
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