キミの螺旋
「でも遊びでなんてムリだし…それにオレには誰かを愛したり幸せにする資格なんてないからな」

「トーキは真面目過ぎるんじゃないの?凛は…凛はトーキの事が好きなのよ?」

「うん…だけど付き合えないし…もう好きにならないって決めたから」

「なんでムリするのよ!あんな過去なんて言わなきゃわかんないわよ!人を好きになって何が悪いの?恋する事は人間だけに与えられた権利なのよ!その権利を行使しなさいよ」

サラの説教はいつも前向きで、オレは励まされてばかりだけど…オレの中で冷静にブレーキがかかる。

「こればっかりは…な。とにかく凛とどうにかなる気はないから」

「トーキの中でもう決まってるなら…無理にとは言わないけど…」

サラにしては…すぐに引き下がったなとは思ったけど、オレの中で結論が出ているんだって事を察してくれたんだろう。

その話題は終わりにしたかった。

サラに入れてもらったコーヒーを飲みながら今日の予定をサラに伝えた。

「今日は病院に行ってくるから」

「いつものね」

「うん、母さんの見舞い…」

そう言ってコーヒーを飲み干し、オレは身支度を整え素早く家を出た。

凛が散歩から帰ってくる前に。
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