キミの螺旋
毎月一、二度は母親の病院へ行き彼女と話しをするようにしていた。

本当なら、もう少し頻繁に行けばいいのだろうけど…オレの母親じゃないって事が頭の何処かにあった。

あれから母親を抱いたりはしなかったけど、いつ求められるかわからない。それもまた苦痛でしかない…

歪んだ愛情を注がれていた【藤紀】は、もっと苦痛だっただろう。

死にたくなる程にな…


いつものように病室へ行くと、そこには誰もいなかった。

散歩でもしてるのか?

そう思ってオレはのんびりと中庭へ向かった。案の定、母親は中庭で一人日向ぼっこしていた。

相変わらず母親は幸せそうに微笑んでた。

この母親の相手をするのは苦痛だったけど…彼女の幸せそうな顔を見るのは好きだった。

何にも知らずわからずに自分の世界に閉じ込もっているけれど…それが幸せなんだろうなって思える。

しばらく幸せな光景を眺めていたオレに母親が気づいた。

「藤紀…学校はどうしたの?」

「…今日は休みだよ」

「そうね、そうだったわね。ねぇ藤紀、少し痩せたんじゃない?」

そう言って母親はオレに抱きついた。
いつものように…





なのに…彼女は突然、オレを突き飛ばした。
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