キミの螺旋
どうして母親がそんな行動をとったのかわからなくて、オレは一瞬焦った。

一体何がどうしたっていうんだ!?

困惑顔のオレを見て母親は言った。




「貴方…誰っ?!」



「誰って…藤紀だよ、わかるだろ?」

オレは落ち着いて対処しようとした。
後で考えると…それが悪かったのかもしれない。

「違うわ!!藤紀じゃない!」

「わかった、ちょっと落ち着いて…」

まずは落ち着かせよう。多分、また意識が混乱しているんだ。必要なら医師か看護師を呼んで対応してもらおう。

そしてとりあえず病室へ戻ろうと母親の腕を掴んだ。

「やめて!何するの!?」

母親は激しく抵抗し、オレの手を振り払った。

「母さん!病室へ戻ろう」

つい、いつものように母親を呼んでしまった。意識が混乱している時なら余計混乱するかもしれない。

しかし母親はその言葉に反応を示し、信じられない事を言った。

「…'母さん'ですって?!貴方は藤紀じゃないわ!!他人よ!息子のフリをして私に近づいてきて何を企んでいるの?!」

「違うよ!オレはただ…」

「藤紀のハズがないわ!!だって藤紀は何年も前に死んだのよ!!!!」

…!
母親は…正気…だ…
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