キミの螺旋

病院の前は広い国道で昼間とはいえ交通量も多かった。

母親の姿を見つけた途端…彼女は視界から消え



　　「ドンッ」





次の瞬間、鈍い音と、次いで何かが衝突したような大きな音がした。

その間の、ほんの一秒にも満たない時間の出来事はスローモーションみたいに見えた。

母親は…国道に出た途端、右から来たトラックにはねられ…まるで人形のように空に舞い上がり、やがて地面に叩きつけられた。



「か…母さん!!!!」


オレはすぐに母親を抱き上げ彼女を呼び続けた。

「母さん！母さん！…しっかりしろ!!!」

呼び掛けても一切の反応は無く


彼女はすでに息絶えていた…。


周りでは事故を見にきた人だかりと…誰が呼びに行ったのか、病院から医師や看護師も駆けつけ、彼女を病院へと運んだ。

オレはただ…呆然とするしかなかった。

「あなた北川さんの息子さんでしょ!?あなたもこちらへ!!」

病院のスタッフらしい人に連れられ、オレも病院へと戻る。

病院では母親の蘇生を試みていたが…ムリだってわかった。

人が死ぬトコロは何度も見ている。
彼女は…死んだんだ。


オレは…




また人を殺した…