キミの螺旋
青空とは対照的に、道路に横たわり血まみれになっていた母親…

はねられた瞬間の映像…

何度も何度も頭の奥でフラッシュバックする。

オレは母親の血を浴び、血だらけになった手や服のまま…母親の遺体の前に座っていた。

どれくらい時間が経ったのだろうか?

病院が連絡したらしく、父親が病院へやってきた。
慌てた様子もなく…オレに話しかけてきた。

「藤紀…何があった?」

「…何も…オレが見舞いに来てしばらくしたら突然、母さんが正気に戻って…興奮して逃げ出し道路に出た時に車にはねられたんだ…」

父親は何も感じていないかのように答えた。

「そうか…わかった。すぐに家に連れて帰るぞ。その前に藤紀…その血をどうにかしろ」

オレは何故か無性に腹がたち、部屋を出て行こうとした父親に怒鳴った。

「何で冷静でいられるんだよ!?オレを責めないのか?!オレのせいで母さんは死んだんだぞ!!」

「これは事故だ。お前を責めてどうするんだ?」

「だけど…こんなのおかしいじゃないか!悔しいとかないのか!?アンタの妻だろ!やっぱり愛してなかったのか?!」

「愛していたさ…それなりにな…」

そう答えて父親は部屋から出ていった。
< 278 / 398 >

この作品をシェア

pagetop