キミの螺旋
夢の中で突然藤紀に怒られた気がした。

「バカ凛…!何で人のベッドで寝てんだよ?オレ寝れないじゃん」

あれっ?
藤紀だ

やっぱり帰ってきた
良かった…待ってたよ

あたしはいつものように言った。

「ん…藤紀…?……………お帰り…」


しばらく返事がなくて…あたしは飛び起きた。

ヤバい!!
あたし、あのまま藤紀の部屋で寝ちゃってたの!?

怒ってる…
絶対に藤紀は怒ってるよね?!

「と…藤紀…ゴメンね、勝手に部屋に入ったりして…すぐ出て行くから」

慌てて立ち上がろうとした時、藤紀があたしの手を掴んだ。

「行かなくていい…」

「え…?藤紀…どうしたの?何かあった?」

「…」

何も答えない…
部屋の中は暗く、彼の表情なんてわからないけど…藤紀はうつ向いていた。

こんな時どうすればいいの?
何かあって落ち込んでるのはわかるのに

あたしなんかじゃ彼を救えないし…役不足だよ。何を言っても否定されそうで怖かった。

しばらく沈黙した後
藤紀はあたしを抱きしめた。





「と………藤紀…」


ビックリして動けなくなった。
心臓がドキドキして破裂しそうなのに

藤紀が震えてるのがわかった。
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