キミの螺旋
「…ゴメン…」

そう藤紀は呟いた。

あたしは拒否される覚悟が出来ていた。
だから自分から離れようとした。

「あたしの方こそゴメン、そんな事言われたって迷惑だよね…」

「違うんだ…!」

そう言って藤紀はさらにあたしを抱きしめた。

「オレは凛に嫌われようとしてた。人には言えない過去があるから」

「藤紀は…あたしの事どう思ってるの?」

「凛にヒドイ事ばかりしたのに今さら…」

「藤紀がどう思ってるのか知りたいの。言って?」


躊躇いがちにあたしの耳元で彼は答えた。

「…好きだよ…」




あたしが一番欲しかった言葉。
ずっと知りたかった彼の気持ち。
あたしは嬉しくて
スゴーく幸せな気分になった。

「よしっ!許してあげる!」

「…え?」

藤紀はキョトンとしていた。

「今までのイジメは水に流してあげるって言ったの!」

「だ、だけど…今さら一緒に居てほしいなんて自分勝手すぎるだろ?」

「うん、だからこれからは独りにしないで。藤紀は罰として…あたしの側にずっと居なきゃダメ!わかった?」

「…わかりました」

あたし達に久しぶりに笑顔が出た。


月明かりの下で



あたし達はキスをした
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