キミの螺旋
愛する行為を終えても身体に残った熱は冷めることなく、くすぶり続けた。

あたしは藤紀と手を繋ぎ、月明かりに照らされた白い壁を見ていた。

「なんか…幸せだな」

「うん…オレもそう思う…」

二人で幸せを噛み締めていた。

でも…

「ねぇ…?やっと一緒になれたのに…こんなに不安な気持ちになるのはどうしてかな…」

あたしは一つ・涙をこぼした。
嬉しいハズなのに…怖くて涙が出るの。

「凛…大丈夫。オレはこの手を離さないから」

「うん…わかってる」

でも藤紀がいなくなりそうな気が、どうしても拭えない。
あたしは藤紀の手を強く握り…藤紀に抱きついた。

「藤紀、未来の話しをしようよ」

「未来の話し?」

「うん、例えば何歳で結婚するとか」

あたしは不安を消したくて、現実味を帯びた未来の話しをしようとした。

その通りにならなくてもいいの。

でも何も考えないよりは安心できる。

「結婚…」

「そんなの考えられない…?」

「いや、早い方がいいよな?凛が…20歳になったら、とか」

「うん、じゃ…子供が生まれたら何て名前つける?」

「…『陸』って名前」

「男の子なんだ?藤紀は男の子欲しいの?」
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