キミの螺旋
新幹線の中で、あたしは母親と何を話していいかわからずに…気まずい雰囲気だった。

お母さんも同じだったかもしれない。

お互い話しをしようとはせずに、ずっと移りゆく外の景色を眺めていた。



新幹線を降り、電車に乗り換え、ようやくたどり着いた場所は、あまり大きくない街だった。駅前は多少にぎやかだけど少し移動するとすぐに住宅街に出る。

多分、数年前よりお店や街の雰囲気も変わってるはずだろう。

それでも

あたし…見覚えある…

そう思った。

お墓に供える為の花を買って駅前からタクシーにのり両親の眠る墓地へと向かう。

そのタクシーの中から眺める景色。記憶の中から探しだしてそれを比較する事ができた。

懐かしい街

あたしの生まれ育った街だ…!

それはあたしの記憶が戻っている証拠にもなった。

少し田舎道に入り、いくらか進んだ時、ようやく目的地についた。

そこは周りに家もなく緑に囲まれていて、とても静かな墓地だった。

「…こんなに遠かったんだ」

「貴方のご両親は…向こうにいるわ」

母親に案内されて、あたしはようやく

両親のもとにたどり着いた。

…七年ぶり…やっと会えたね。



パパ…ママ…
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