キミの螺旋
母親は済まなそうに言った。
あたしはホントに、心の底からお母さんに申し訳ないって思った。

アイツさえ…あんな事しなければ良かったのに。

「ゴメンね。あたしの方こそ…いい娘になれなくて」

「貴方が謝る事じゃないわ。私の方が大人なんだから…それにね、凛はもう大人になって自分の世界を作り上げてるって思うの。そう考えると何だか嬉しいわ」

「大人かな…?」

「家を出た時よりもしっかりしてきたみたいだし顔つきも大人っぽくなったみたいよ?」

「ゴメンなさい…あたし家には戻れないと思う…」

母親は寂しそうに笑って答えてくれた。

「いいのよ。わかってる…でも何かあったら連絡するのよ?」

「…うん…」

それから帰るまでの間、あたしと母親は何も言葉を交せなかった。

行きの時とは全然違う事を感じながら…

日もすっかり落ち新幹線は暗闇の中を走り抜けていった。

目的の駅に到着し、あたしは母親に言った。

「今日はありがとう…それから…今まで育ててくれてありがとう」

「凛…ゴメンね…ちゃんと育ててあげられなくて…親らしい事一つもできなくてゴメンね…」

「ううん…お母さんは大好きだよ…迷惑かけてゴメンね…」
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