キミの螺旋
「もう…その話しは、したくないの。終わりにして…」

あたしはサラとの話しを強引に終わりにした。

出口の見えない問題を話したって解決なんかしない。するはずもない…忘れる事なんてできないもの。

簡単に赦せるような問題じゃないわ…

もしも理由が存在して、納得できるものだとしたら…あたしは藤紀を赦せる?

よく『罪を憎んで人を憎まず』とか言うでしょ?

『汝の敵を愛せよ』
そういう教えもある…

だけど、それが出来るなんて思わない。
神様しか出来ないと思うし。

あたしは…両親の事や、記憶を失っていた七年間を考えると

簡単に彼を殺せるくらい藤紀を憎んでるよ?

本気で思う。

彼が、あたしの両親を殺さなければ──どんな人生だったのか考えてしまうの。

あたしの人生を台無しにした藤紀を赦せない

だけど…どうしてなの?

彼との思い出が邪魔するんだ。

楽しかったコト
遊びに行ったトキ
好きになったトコ
彼のいいトコロ

全部、今のあたしの邪魔をしてる。

こんな…彼と過ごした時間なんて考えなければ、あたしは復讐できるのに!

だから苦しい
だから悩んでる

でも赦せるとは思えない…


──誰か助けて。
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