キミの螺旋

自分の気持ちがハッキリと見えなくて、考えるのも嫌で思考を閉ざそうとした。

考えなくて済むなら、その方がいい

逃げてるんだと思う。卑怯なのかもしれない。

そう思うと必ず頭の奥で、あたしが作り出したパパとママが言うの。

『復讐しろ！』

『犯人を殺して！』

って。
犯した罪は必ず自分に返るというなら…あたしに殺されたって文句も言えないはずだって思ってしまう

確かに自分が犯罪者になってでも敵を討ちたいって思う。
そうしなきゃ終わらない…

でもきっと、敵を討った途端、あたしは被害者から加害者に変わる。

そして、あたしも被害者に殺されて───

憎しみの連鎖は止まらない。
誰かが我慢しなければ

誰かが赦さなければ

殺し合いの螺旋は切れない。

だけど、あたしじゃ終われない……




そう確信した頃
あるニュースが世間を騒がせていた。

『キタガワグループの北川社長が辞任へ』

始めはその程度だった。あたしとサラは、それが藤紀の父親の事だとすぐにわかった。

ただ、辞任するだけかと思っていたけど…

後から政治家への献金問題や脱税、使途不明金。色々な問題が表面化して辞任に追い込まれたらしかった。