キミの螺旋
藤紀の父親の辞任騒動は大物政治家を巻き込んでのスキャンダルへと発展していった。

朝から晩まで、TVはそのニュースばっかり。

何気なく見ていた時、サラがボソッと言った。

「トーキ、大丈夫かしら…?」

そりゃ、あたしだって無意識に『今、どうしてるのかな?』って事くらいは考えたりしたと思う。

でも言われて嫌な気分になった。

「サラ、もう藤紀の話しなんてしないでよ!ワザと?!」

やつあたりしてた。
考えたくないのにサラが思い出させるから。

「違うわ!私は心配なのよ!凛はトーキの事知ってるの!?殺人の話しじゃなくて…その後の彼の事よ?」

「知らないよ!知りたくもないし!」

「じゃ聞いて!私の知ってる範囲でしか言えないけど…それでも知ってる事、総て教えるから!」

もう彼の事を知りたくなかった。

知れば知る程、あたしはどうしたらいいかわかんなくなる。

あたしは嫌だったのにサラは強引に話し始めた。

…何故かな…

聞かずに部屋を出ればよかったのに、あたしは最後まで彼女の話しを聞いてしまった。

「事件の後、すぐに捕まって異例の速さで刑が確定して…トーキはちゃんと刑を全うするつもりだったらしいわ」
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