キミの螺旋
どうしてここにいるの?


いつも偶然に出会ってしまうのはどうして?

日本には一億人以上いるのに
こんなにたくさん人がいるのに

どうして…あたし達は出会ってしまうんだろう。







「藤紀…」


たくさんの人達の中から、あたしは彼の姿を探し出していた。

彼もまた、あたしを見つけ、立ち止まった。

あたしは雑踏の中で立ち尽くした。
視線の先には藤紀がいて──目をそらすことができない…

藤紀と目が合う。

まるで時間が止まったみたいだった。

その間も、あたしの心は藤紀に話しかけていた。

『どうして?』

って。
聞きたい事ばかりが頭の中に浮かんでくるの…

赦せない相手なのに、どうしてそう思うんだろう

次に会った時は…もしかしたら殺しちゃうくらい逆上するかもって思ってたのに

意外と落ち着いてた。
意外と心は静かだ。

ドキドキもしない…でも心はこの空間に囚われていた。

多分、数分…あたし達は目が合って──先に視線をそらしたのは藤紀の方だった。

そして身体をひねり、進行方向を変える。

彼が何処に向かうつもりだったかなんて知らない…だけど






あたしは夢中で藤紀を呼び止めていた…
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