キミの螺旋
「妹…?!何なのそれ…あたし達が何をしたっていうのよ!?」

見当もつかなかった。藤紀に妹がいたことも知らなかったし、でも、まさか【殺した】なんて…

何かの間違いだよ!

藤紀はあたしから手をはなし少し離れて話し始めた。

「もう17,18年くらい前。凛が生まれた日の事だ…。

妹はその時、三歳…妹は生まれつき心臓が悪かったんだけど

あの日の深夜、妹は発作を起こして救急車で病院に運んだんだ。すぐに処置してれば当然助かった…

だけど医者は処置してくれなかった」

「ど…どうして?」

「妹が救急車で運ばれたのと同じ時間に病院には妊婦が運ばれたからさ。そして医者は妹ではなく、妊婦の処置をした。

──妊婦は無事出産。

ずっと放置されてた妹は…死んだ」

あたしが
生まれた日…?

「まさか…」

藤紀は皮肉な笑みを浮かべ答えた。

「妹の命と引き換えに、お前が生まれたってわけだ」

「なんでそんな事が?!病院は…医師は…」

「後で、わかった話し。深夜だった為に医師は一人しか居なくて…

妹は救急車で連絡してから運ばれたけど凛の親は車で直接その病院に行った為に、同時刻に患者が二人になってしまったらしい」
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