キミの螺旋
「それで、どうしてママの処置を先にしたの!?」

「…どうして?簡単な話しだよ!お前の爺さんが政治家だったからだ!それにお前の父親も会社経営していて…

その病院には多額の出資をしていた。だからその病院に運んで処置しようとしたんだ!当たり前な話しだよな?

病院は当然、力の強い方へ味方する。金もないオレ達が犠牲になってな」

あたしは…まるで後ろから殴られたみたいにショックを受けていた。指の先から体温が失われていくような感覚。

──これが真実なのだとしたら…


「逆恨みだと思うか?!そうかもしれない…だけど許せない!お前さえ生まれなければ妹は生きていたかもしれないのに…」

藤紀にとっても
あたしは敵だったって事────?


「オレは『有馬』って名前を覚えていて、少し大人になってきた頃、『有馬』が何処に住んでるか…色々調べ始めた。そして17の時、やっと復讐できた。

オレが憎いなら憎めばいい…オレはずっとお前の親を憎んでいた」

「どうして…どうして、あたしも一緒に殺さなかったの?」

あたしも死ねば、あるいはこんな憎しみの連鎖を生み出す事もなかった…

生き残りがいれば
必ず恨むはずよね?
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