キミの螺旋
義父は…顔を血だらけにしていた。

恐る恐る触れてみる。

「お…義父さ…」

反応はなかった。
床に投げ出された手首に触れ…震える指で脈打つ部分を探ってみたけど

見つからなかった。


──殺した…

死んだの?
あたし────人を殺した…?


急に吐き気がして、胃液を吐き出す。

血で真っ赤になった手で、あたしは顔を覆った。

多分、義父の血。
自分の手も怪我をしてるかもしれないけど

痛みはなかった。

あたしは床に落とした携帯を横目でチラッと見た。

形はよくわからないけど…割れている。

携帯でも人が殺せちゃうんだ?

そう──義父はあたしの手によって顔を潰され死んだ…



 殺した

     殺した

   コロシタ




「…っ…う…っ…うわぁぁぁぁぁん…!」


あたしは大声で泣き叫んだ。

もう義父が居なくなった事への安堵感と、殺人行為への恐怖

これで、あたしも人殺しだ…!

藤紀よりも罪深い

自分の都合だけで、人の命を終らせた…!


もう終わりだ

早くあたしの人生も終わらせなきゃ…










「ドンッ!ドンッ!…ガシャーンッ!!」


その時、誰かが入ってきた…
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