キミの螺旋
部屋の中の惨劇

あたし達の側に横たわる死体…
藤紀はすぐに察した。

あたしは黙ってうなずくしかなかった。

藤紀があたしの頭を自分の胸に押し付け、ギュッと強く抱いた。

「ゴメン…」

「…」

あたしも藤紀の背中に腕を回して、しがみついた。

だけど、今までのように安心したりはしない。怖くて…ずっと怖くて。

「怖かっただろ…遅くなってゴメンな…」

「せ…先生…は?」

「…殺した。殺したんだ…」

「…そう…もう…終わりだね」



藤紀はあたしの耳元で呟いた。



「一緒に…逃げようか…わかるよね?」


「…うん…うん…っ」

あたしは藤紀を強く抱きしめた。

一人じゃない事が
少し安心したの…





「おいで。キレイにしてあげるから」

「…?」

藤紀に手を引かれて行った先には浴室が現れた。

「お風呂…あったんだ…?」

「さっき、ここに来た時に凛の居場所がわからなくてウロウロしてたら見つけたんだ」

あたしは破れて血に染まった服を脱いだ。
藤紀も…よく見ると同じように血に染まっている。

…本当に殺してきたんだ…

だんだん…これは現実なんだって思えてきた。
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