キミの螺旋
熱いお湯を浴槽にためて二人でつかった。
二人共、電気をつける事はできなかった。
暗闇の中、浮かぶ月の明かりが浴室を照らす。
それだけで十分だった。
もう太陽の下なんか歩けないね…
少しだけ照らされた藤紀の身体や手がアザだらけなのに気づく。
あたしも…あちこちキズができていた。
「手当しようか…?」
「ううん、大丈夫だ」
「そっか…」
あまり言葉は交せなかった。
たくさん話したい事はあるのに
…ただ
躊躇いがちに
──あたし達はキスをした。
逢う度に好きになって
逢う度に恋をする
藤紀と付き合えて、サラとも楽しく過ごして、ちょっと遠慮がちに三人で住んでいた頃
あの頃が
あたしの人生の中で一番幸せだったと思う。
ねぇ、藤紀
多分、藤紀も同じように感じてたよね?
お互い何にも知らないで、愛し合って未来を語ったりしてた。
このキスは、あの時とは違うけれど
でも好きな人とのキスって感じがするね…
キスが出来る事。それが幸せに感じられた。
あたし達はお風呂から出て、棚にあったバスタオルを見つけ、身体に巻いた。
それから───
「凛、あったよ。先生が医者でよかった」
二人共、電気をつける事はできなかった。
暗闇の中、浮かぶ月の明かりが浴室を照らす。
それだけで十分だった。
もう太陽の下なんか歩けないね…
少しだけ照らされた藤紀の身体や手がアザだらけなのに気づく。
あたしも…あちこちキズができていた。
「手当しようか…?」
「ううん、大丈夫だ」
「そっか…」
あまり言葉は交せなかった。
たくさん話したい事はあるのに
…ただ
躊躇いがちに
──あたし達はキスをした。
逢う度に好きになって
逢う度に恋をする
藤紀と付き合えて、サラとも楽しく過ごして、ちょっと遠慮がちに三人で住んでいた頃
あの頃が
あたしの人生の中で一番幸せだったと思う。
ねぇ、藤紀
多分、藤紀も同じように感じてたよね?
お互い何にも知らないで、愛し合って未来を語ったりしてた。
このキスは、あの時とは違うけれど
でも好きな人とのキスって感じがするね…
キスが出来る事。それが幸せに感じられた。
あたし達はお風呂から出て、棚にあったバスタオルを見つけ、身体に巻いた。
それから───
「凛、あったよ。先生が医者でよかった」