キミの螺旋
「よかった…」

藤紀が探し出してきたものを見て、あたしは安心した。

「たくさんあったね、睡眠薬…」


藤紀の身体を傷つけたくなかった。これだけあれば大丈夫だよね。

「藤紀…あたしサラにメールしてもいいかな…?」

「そうだね…オレも、親父に電話しておくよ」

「北川さん…?」

「うん」

あたしは自分が寝かされていた部屋に行った。確か自分のバッグがあったはずだ…

そのままにされた義父の身体を横目に、見つけたバッグを素早く取り部屋を出る。

「よかった。バッテリー切れてなかった」

かろうじて残っていたバッテリー。
あたしは廊下でサラにメールを打った。

すんなりサラへの言葉は出てきた。
今の素直な気持ち

送信して、藤紀のいる部屋へ戻ろうとした時、中から話し声が聞こえてきた。

まだ電話してるみたいだ…でも一方的。相手は留守電だったのかな?

「父さん、オレ行くから。今までありがとう…それから、ホントの藤紀に…息子になれなくてゴメン。オレは…父さんの事、ホントの親父みたいに思っていたし…ずっと本物の家族になりたかった…」

そこで電話を切る。
藤紀が泣いていた…

あたしは近づいて彼の涙に触れた。
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