キミの螺旋
「オレ…親父にヒドイ事してるんだ。母親だって死んで藤紀だって死んだ…そしてまた藤紀を殺そうとしてる」

「うん…」

「だけど…もう選んだ事だから。…行こう」

「一緒に…逃げよう。連れてってね…藤紀」

この苦しさから
この運命から

二人で逃げよう。


あたし達は月明かりに美しく照らされた白い床の上に座った。

先ずはあたしが一口、水を口に含み、そこへ一錠の睡眠薬を入れて

藤紀に口移しで飲ませた。

次に藤紀が、同じようにあたしに薬を飲ませる…

何度も繰り返す。

何度もキスをして
何度も愛し合うみたいに

ねぇ
もっとキスして

たまに舌を絡ませて
熱いキスをして


「藤紀…」

彼が呟くように言う。

「凛…本当の名前を呼んで…一度だけでいいから…さ…'陸'って呼んで…今だけでいいから愛して」

そうね…貴方は'陸'だったね

あたしは名前なんかどちらでもよかった。

貴方が貴方でいるなら

あたしの前では…貴方でしかなかったよ

「陸…愛してる…本当に愛してるの…でも憎んでる…」

「それでいいよ…凛…オレも愛してる…だけど、この世で一番…憎いんだ…」


それが真実。

あたし達の結論…
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