キミの螺旋
好きか嫌いか
愛してるのか憎んでいるのか

どちらか一方に結論づける事はできなかった。

そんなに簡単じゃない。苦しくて、どちらも選べない。

それは多分…一度深く愛し合ってしまったから。

あたしの全身全霊をかけて彼を愛したから。

心が通じ合ったのは短い時間だったけど、真実だったよ…ね?

──意識が朦朧としてきたのかも知れない。

「ねぇ?陸、もしも…一つだけ神様が願いを叶えてくれるなら…あたしはもう一度記憶喪失になりたい…な」

そしてね、

また貴方と愛し合うの。

生まれてきた子供を愛して育てて…いつか年老いても

陸と手を繋いで街を歩くの。

いつか離ればなれになる日がきても

きっとまた来世で愛しあうんだ


叶うよね?きっと────次の人生なら──


あたし達は床に倒れ
彼があたしを抱きしめる…

「愛してる…凛、また…逢おう…ね…」

「うん…ずっと…大好きだよ…陸…ありが…と……」


一緒に逃げてくれてありがとう…

一つだけ

あたし貴方に言えなかった。

あたし、貴方の子供が出来たんだよ…

でも一緒に連れていくから

許してね…



また逢おう・ね…


   ─────陸…
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