キミの螺旋
少し前…
ほんの少し前までは

独りで生きていくんだって、身体を売るような真似をして

眠る場所がなければそれを確保する為に
男を探した。

もちろん見返りはいつでもあたしの身体。

それしか持ってなかったもの。

だけど優しい人達に出会って、あたしはすっかり頼ってしまっていた。

ずっと定まらなかった居場所ができたみたいで…嬉しかったの。

そしてハルトに出会って、好きになって、気持ちや身体が結ばれて


なのに…今の方が寂しいの。
ずっと欲しかったモノを手に入れたのに

おかしいよね…?


そう思いながら、あたしは藤紀の言葉に頼ってしまって、素直にサラと藤紀の住む家に向かった。

どこか悪い気がしながらもチャイムを押した。
藤紀がドアを開ける。

「あぁ、良かった。来ないのかと思った」

「あの…ゴメンね」

「なんで謝ってんの?入りなって」

「うん…」


少し前に少しの間だけ住んだ部屋…

藤紀がいると少し雰囲気が違うね

「今夜はサラ帰ってこないんだってさ」

「じゃ…マズイよね。あたし帰るね」

「帰れないから電話してきたんじゃないの?サラにも言われてるからさ…凛の様子がヘンだったら…って」
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