キミの螺旋
あまりの出来事に動けなかったであろう…


背中に張り付いた母親の肌と

柔らかい…胸の感触


おれのモノに触れた
よく知っているその指は…

おれの知らない指へと変化した。


両手で巧みに刺激を与えようとしている…

まさかとは思ったが…洗うつもりではなく
明らかに…おれを欲している。


まだ何も知らない中学生のおれでも
その行為がどういったものなのか…すぐに理解したはずだ。


そして気持ちが悪くなり、母親を突き飛ばして風呂から飛び出した。

濡れた身体のまま、タオルだけをかろうじて掴んで自分の部屋へと駆け込み

中から鍵をかけた。



…幸い父親は仕事でいなかった。


 ────────


…なんだよコレ…!


おかしい!このシナリオがおかしい!


おれは吐き気をもよおしながらも、教育係の山本先生に抗議した。


「何でこんな話しが必要なんだよ?!これじゃまるで…」

「…まるで?」

「本当に存在した誰かの記憶みたいだ…!」

だけど先生は、何もなかったかのように…でも優しく返答する。

「他人になりきれと言ったじゃないか。リアルなのは当たり前だろう?…ところで、お前はドウテイか?」
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