キミの螺旋
「…は!?」


突然の質問におれは面食らった。
今の会話の流れで、出てくる質問じゃないだろ!

なかなか返事をしなかったおれに対して、山本先生は言い方を変えて質問し直した。

「実際に女性経験はあるのか?って聞いてるんだ」


…それくらいわかってるよ!子供じゃないんだから



「…ねーよ!」


まだ17歳じゃ…なくったっておかしかないだろ?!

でもあからさまに聞かれると恥ずかしく思った。

「ふーん…そうか」

そう答えた先生の顔をおれはまともに見る事が出来なかった。

やだな

きっと笑ってる…



「落ち着いたなら続きを読んで」

「…」



…まだ気分は悪い。

だけど強く拒否出来ない立場だから、おれは仕方なくまた記憶を進める作業を始めた。






その後……


母親はおれが突き飛ばした時に頭を打って意識不明になっていた所を
父親に発見され、救急車で運ばれた。


幸い傷は浅く
意識もすぐに回復したけれど、しばらく入院する事になった。



おれは、母親の奇行を父親に言う事ができなかった。


だけど父親は母親の入院中、一度も病院には行かなかった。


多分…父親は知っていたんだ…
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