キミの螺旋
もちろん家には
おれ達の他には誰もいなかった。


彼女は一年近くおれの家庭教師をしていたから、ウチの事情はよくわかっていたと思うし

おれも他に捌け口がなかった為にいつも彼女に愚痴ったり相談をしていた。


もし姉がいたなら、こんな感じかなって…彼女をそんな風に見ていた。
彼女もまたおれの事を弟みたいに見ていたんだろう。
彼氏の話とかをよく聞かされていた。



それが何故こんな事に?



おれは家庭環境の悪化と共に成績も落ちていった。

もう笑っちゃうくらいの落ち方だった。

さすがにそれを親父に言われ、ケンカになりずっとムシャクシャしていた。

『どうにかしてスッキリしたい』

そんな風にメグミに言うと、彼女は楽しそうに提案してきた。


「じゃ…あたしとえっちしてみる?」


「…えぇ!?な、何言ってんの?!浮気する気?」

さすがに焦った!
だって年上だし…彼氏いる女なんだぜ?


「…別れちゃったよ」

そう言うとメグミは悲しそうな顔をした。



…そう

メグミも悲しみを埋める為に何かしたかったんだ。


おれ達は
お互いの空いた穴を塞ぐ為に



まずはキスをしてみた
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