オフィス・ムーン

 私の八つ当たり

みたいな嫌な態度も

有森は気にする

様子もなく

話し始めた。

「そうだね。

特にうちの扱ってる

商品は医療機器だから

普通に馴染みのある

商品とは違って

カタログ見ても

専門用語とか

多くて解り辛いでしょ?

でも遠慮しないで

営業の人に

どんどん

聞けばいいのに。」

「うん。聞きたいけど

聞けない。

だから、勉強してるの…」

以前 伊藤さんから

商品の事を

教わろうとしたら

 あのヒトに

「あなたは、

すぐに人に頼るのね」

と言われたのが

悔しくて、こたえていた。

それに営業社員も

課長の目が恐くて

何だか私に

よそよそしいのも

感じていた。


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