オフィス・ムーン

 でも もう決めたことなんだろう。

彩の決意は固い感じがした。

 「遥が明るくなったのは

有森君のせいかと思ったのよ。」

 急に無理して明るく彩が話を

変えた。

 「楽しいわよ。でも恋ではないの。」

 「なんで?一緒にいて楽しい人なんて

そんなに出会えないじゃない。」

 「そうね。」

私は彩の言葉で遠い記憶が

浮かんできた。

 

父と弟と母と家族4人で海に行った。

その日までは幸せな家族だった。

あの日 弟があんな事にならなければ

 「どうしたの?遥!」

 「あ、ごめんね。ぼーっとしてた。」

 私は自分の話を彩にしてしまいそう

だったが、なぜか止めた。

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