オフィス・ムーン

翌朝二人で朝食をとってベットでいちゃついて…
あっという間に時間は過ぎてしまう。
「うち迄送るよ」
「じゃあ…買い物して帰るから駅まで送って」
　「夕方、遥のうちに行くから」
　「うん。夕飯作って待ってる。運転、気をつけてね。」
　遥は駅で有森と別れ買い物に出かけた。
途中 駅前の書店に本を注文していたのを思い出して駅前に戻った。書店で本を受け取って出て来た所で向かい側に有森の車を見つけた。彩が助手席に乗り込んだ。遥は呆然となる 嫌な予感は的中していたのだ。
うちに帰って遥は震える手で 有森にかけたが出なかった。
遥は書店から受け取ったばかりの本を投げた。有森に美味しい手料理を作ろうといろんな料理のレシピが載った本だった。 有森から電話が入った 「遥？どうしたの？着信あったから。」
「嘘つき」
「何？？」
「彩と一緒なのね。」 「…え、あ、それは、…違うんだ」
「違わない！ハッキリ見たわ。嘘つき！もう貴方なんか、信じない！」
遥は自分でも驚く程怒りをぶつけてから携帯を切った。 すぐにまた有森からの着信があるが遥は電源を切ってしまった。 遥はそのままベットに潜り泣いた。こんなに好きになったのに。こんなに酷い裏切り。遥は泣いては有森との楽しかった時間を思い出し、裏切られた事をまた嘆きカーテンも締め切ったまま何もしないでベットの中にいた。 「遥！」
夕方、有森がチャイムを鳴らした。
「遥、頼むから話しを聞いて欲しい。」
…外で有森が何か言っていた…遥はドアを開ける事もベットから出る事もできなかった。怖かったのだ。一樹の浮気に気が付きながら聞く事も出来ずにいたあの頃の記憶が蘇る…意を決して遥は、行動にでた。偶然を装い一樹と彼女に出くわした。一樹が逆切れて、『お前と居てもつまらない』 と言い、彼女と去って行った後ろ姿…おんなじ結果になる気がして怯えていた。

月曜日

遥は青白い顔で出勤した
有森は遥に何とか話したくて昼休みにやっと遥を捕まえた。
「…本当に誤解なんだよ。ちゃんと話し聞いて欲しいんだ」
「言い訳？見たのよ私」 「だから、訳があるんだ、ほら、この前のレストランに彩さんを送って行っただけなんだよ。病院の近くだからついでだし、何度か送って行っただけ。」