私はきっと、明日もあなたに逢いにいく

朔は相も変わらず真っ直ぐ前方を見つめたまま目尻の皺を深めている。

その頭上でトンビが一羽円を描いて飛んでいる。

だけどトンビは一度円を描いただけですぐに紫より深い色の空に消えていった。

「いいんだよ、ハナ。僕はハナにたくさん教えたいんだ」

「うん。私が分からないのは主に朔についてだけだけどね」

「そうかな?」

「うん。勉強は教科書が教えてくれる。

生きていく術は実際に生きている人たちを見て吸収していく。

それ以外は特に興味もわかないし知りたくないからいらないし」
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