魔法使いの巫女少女Ⅰ

ぞわっと背筋に嫌な寒気を全員が感じた。
特にザクラは死神にあったかのような居心地だ。
未来はゆっくりを瞳を開けて静かに言った。
「貴方方はいつになれば学ぶのでしょうか。それともそんな能力がないのでしょうか。本当にかわいそうに。」
そういわれて敵は全員が怒った。
この数を相手に何を言ってるのかと。圧倒的に未来のほうが不利だとそう思っていた。
だが、ザクラは違った。
（起きてしまった。）
いま、目の前にいる未来は未来であって未来ではない。
初代、そう呼ぶべきものだった。
西のほうに勢力を伸ばしていたのは、この初代を葬りたかったためだ。
だが、どういうことだと思う。
（初代は長い年月、西の遺跡に封印されているといわれていたはず。いつから未来の体内にいたんだ？いや、それよりもなぜ封印が解かれるようなことが起きていない？）
そんなザクラの考えを読んだのか未来は静かに言った。
「大方、私が封印されていたとでも思っていたのだろう。それには違いない。だが、この娘は何度も死ぬことにより、自身の体内に私を移動させていた。封印はこの娘の中に入った時点で解けていたわ。」
やれやれと言いながら首を振る仕草は子供っぽく見える。
ザクラは彼女が言った言葉に絶句していた。
いくら死んでも生き返るからと言ってそんなことをするものなんて普通いない。
死ぬということは生きていくうえで簡単にできることではない。
「そんなはったりが通じるとでも？」
ザクラは内心焦りながら、しかし声には出ないように聞いた。
そんなことができてたまるかと思いながら。
「できるわ、私なら。」
そうはっきりと未来は答えた。
「そのために私は生きるって決めたんだもの。はるか昔にー。」
そして、それが私の罪―。
未来は手をかざしていった。
「少し眠っていなさい。起きたころにはすべて終わっているから…。」
だから安心してと―。
幼子に言い聞かせるように言った言葉を最後に意識が途切れた。