魔法使いの巫女少女Ⅰ
「……慎…?」
呼ばれたほうを向くと未来はうずくまっていた。
その様子を見てほっとしたのと、見つけられた喜びで未来に近づこうとした時―。
「っ!」
何かにぶつかったような感じがした。
そっと手を伸ばすと透明な壁のような空間があり、その中に未来はいた。
どうやら未来以外は入ることができないらしい。
中にいる未来に慎は話しかけた。
「未来、一緒に帰ろう。」
だが、未来は首を振って答えた。
「ごめん、できない。」
「どうして?」
「これ…見える…?」
そう未来がさした方向を見た。
しかし、慎には何も見えなかった。
「そこに何かあるの?」
「……うん。」
そういうと未来はまたうつむいた。
そして、小さな声で言った。
「私を置いて帰って。」
慎はその言葉に絶句した。
と、同時に怒った。
「そんなことできるわけないよ!」
しかし未来は聞こえてないかのように続けた。
「私のことは忘れて、幸せになって生きて。」
「みく!」
そう何度も呼んでももう未来はこっちを見ようともしない。
慎は見えない壁を何度も何度もたたいた。
(なんで、なんで!)
未来はここで死のうとしているのかもしれない。
(そんなのは嫌だ!やっと、やっと、気づけたのに!)
「未来!」
慎は未来が向いてくれるまで呼び続けた。
そんな時―。
(許さない!)
そんな声が聞こえて慎は顔を上げた。
未来の周りに白い何かが未来にささやいていた。
そしてその声が慎にまで聞こえてきたのだろう。
慎は未来に向かって叫んだ。
「未来!君が何に許しを乞うているのかわからない!だからー」
はなしてほしいー。
そう言おうとした時、未来はゆっくりとこっちを向いていった。
「そこからこっちに来れないのに?」
それは未来から聞いた今までで一番拒絶をした声だった。
その声を聴いた途端、慎の中で何かがはじけた。
「今からそっちに行くから!こんなのすぐにどうにかしてやるから!そしたら君がなんて言ってもみんなのところに連れて帰るからな!」
未来はそれを聞いて困った顔をした。
「私のことより、慎たちがあの星で生きていくことのほうが大事でしょう?みんな慎のこと心配しているに違いないわ。だから、」
もう私のことは放っておいて帰って―。
そう言おうとした声に慎が重ねた。
「僕だけじゃなくて、君のこともみんな心配してるんだ!それに約束したんだ!絶対に君を連れて帰るって!」
そういいながら、慎は解除の魔法陣を作り出した。
だが、びくともしない。
それでも慎はあきらめなかった。
その様子を未来は中から見ていた。
(いつだってそうだった。未来は本当に大切なことを誰にも言わず一人で抱えて苦しんでいた。それをいつも知らないふりをしてたんだ。でも、)
「もう、目をそらしたくないんだ!」
そういいながら慎は全魔力を使って空間をこじ開けようとした。
呼ばれたほうを向くと未来はうずくまっていた。
その様子を見てほっとしたのと、見つけられた喜びで未来に近づこうとした時―。
「っ!」
何かにぶつかったような感じがした。
そっと手を伸ばすと透明な壁のような空間があり、その中に未来はいた。
どうやら未来以外は入ることができないらしい。
中にいる未来に慎は話しかけた。
「未来、一緒に帰ろう。」
だが、未来は首を振って答えた。
「ごめん、できない。」
「どうして?」
「これ…見える…?」
そう未来がさした方向を見た。
しかし、慎には何も見えなかった。
「そこに何かあるの?」
「……うん。」
そういうと未来はまたうつむいた。
そして、小さな声で言った。
「私を置いて帰って。」
慎はその言葉に絶句した。
と、同時に怒った。
「そんなことできるわけないよ!」
しかし未来は聞こえてないかのように続けた。
「私のことは忘れて、幸せになって生きて。」
「みく!」
そう何度も呼んでももう未来はこっちを見ようともしない。
慎は見えない壁を何度も何度もたたいた。
(なんで、なんで!)
未来はここで死のうとしているのかもしれない。
(そんなのは嫌だ!やっと、やっと、気づけたのに!)
「未来!」
慎は未来が向いてくれるまで呼び続けた。
そんな時―。
(許さない!)
そんな声が聞こえて慎は顔を上げた。
未来の周りに白い何かが未来にささやいていた。
そしてその声が慎にまで聞こえてきたのだろう。
慎は未来に向かって叫んだ。
「未来!君が何に許しを乞うているのかわからない!だからー」
はなしてほしいー。
そう言おうとした時、未来はゆっくりとこっちを向いていった。
「そこからこっちに来れないのに?」
それは未来から聞いた今までで一番拒絶をした声だった。
その声を聴いた途端、慎の中で何かがはじけた。
「今からそっちに行くから!こんなのすぐにどうにかしてやるから!そしたら君がなんて言ってもみんなのところに連れて帰るからな!」
未来はそれを聞いて困った顔をした。
「私のことより、慎たちがあの星で生きていくことのほうが大事でしょう?みんな慎のこと心配しているに違いないわ。だから、」
もう私のことは放っておいて帰って―。
そう言おうとした声に慎が重ねた。
「僕だけじゃなくて、君のこともみんな心配してるんだ!それに約束したんだ!絶対に君を連れて帰るって!」
そういいながら、慎は解除の魔法陣を作り出した。
だが、びくともしない。
それでも慎はあきらめなかった。
その様子を未来は中から見ていた。
(いつだってそうだった。未来は本当に大切なことを誰にも言わず一人で抱えて苦しんでいた。それをいつも知らないふりをしてたんだ。でも、)
「もう、目をそらしたくないんだ!」
そういいながら慎は全魔力を使って空間をこじ開けようとした。