生存税
「では、これにサインをお願いします。」
紙とボールペンを渡され、サインを要求された。
これにサインしないかぎり、僕はこの町に住む権利を与えられない。
ただ、税金を払えばいい。
きっとそれだけ、だ。
「...どうぞ。」
「ありがとうございます。」
「では、私たちはこれで。失礼しました。」
静かにドアが閉じた。
今思い返せば、本当に大丈夫だったのか。
違法なものではなかったのか。
きちんと確認するべきだったのかもしれない。
でも、もうしてしまったものは取り消すこともできない。
隼は重い足取りで、リビングに戻った。