生存税
「グレン、だよね?」
自分のすぐ横に居る人物は、グレンのはずだ。
でも、何かが違う気がして。
「..何言ってるの、僕だよ、嫌だなぁ。」
軽い違和感だったのだろうか。
グレンの発したさっきの言葉には何が込められていたのだろう。
「さっき、何かいいかけたよね。」
「...ううん。何も。」
今の感情を一言で例えると、「怖い」なのかも知れない。
ずっと、横にいたはずなのに。
それなのに、そこにいるのはグレンじゃない気がして。
見かけは、グレンなのに、それは全くの別人のような気がして。
「グレン、僕には君がわからないよ。」
僕は、何も知らない。
知らないくせに、どうしてここまで僕は、グレンに執着しているんだ。
「...グレン、寝てるの?」
小さい吐息を立てて寝ているグレン。
その子供のような仕草に、何も言えなくなった。