生存税
この付近の銀行といえば、3キロ先しかなかった。車もない上で、自転車ともなると、さすが田舎だ。
都会じゃ、全くありえない。
ただひたすら、自転車を漕ぐしかなかった。
この銀行の遠さも、この町の作戦なのかと伺ったが、そんな訳あるはずがない。
ペダルを踏み、ゆっくりゆっくりと、漕ぎ始めた。この暑さの中、銀行に行く為だけに汗水垂らすのは、馬鹿馬鹿しいという考えもあった。
でも、見ておかないと、なにもすすまない。
「しんど...。」
晴天の日差しは、集中攻撃するかのように隼を照らし出した。
もし、何事も無ければそれでいい。
いや、その方がいい。
あったとしても、僕がこの町に住むと決めたからには正々堂々しなければならない。
僕は、逃げるような真似だけはしたくない。
怯えながらでも、自分の決めたことには責任を持っていたい。