生存税


コオロギの鳴く声が聞こえる。



辺りは一面真っ暗だ。

街灯も少ないこの町じゃ歩くのも一苦労だ。
車を運転する人からすれば、だいぶ迷惑なものだろう。




それにしても、さっきから、背後に何者かの存在を感じる。足音やら何やらが徐々に近づいてくる。




俗に言う、ストーカーのように。




もしかすると、本当にストーカーなのかも知れない。



思い切って振り返ってみたくもなるが、臆病な僕からしてみれば恐怖心で振り向けない。






でも、このまま振り向かないまま、何かをされてしまったら、、。



せめて、顔だけでも確認しておかないといけない。


ごくり、と唾を飲み込み、思い切って後ろを振り向いてみた。




「....っ、うわっ!」

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