生存税


だいぶ、おかしな話だ。
自分の事を他人のように言うし、どうみてもグレンであるのに否定するし。



助けてもらったのはどうかんがえても、グレンだ。



「俺は、グレンじゃない。」


「..え?」


戸惑いが隠せず、瞬きが止まらない。
僕の目の前に立っている彼は、どうみても、グレンだ。
最近知り合った、優柔不断で自分勝手なグレンじゃないか。



「意味がわかんないよ。」


「あんまり言いたくなかったけど、俺の名前はアラン。」


「...ますます意味がわからない。」



隼は、首を横にぶんぶんとふった。



「話すと、長くなるから...、とりあえず、俺の家に行くか?」


「グレンの家?」


「ああ。アランだけど。今日は、家に帰らないほうが良い。恐らく家においかけてくる。多分俺の家にも来るだろうけど、無視すれば大丈夫だ。」



本当にさっき襲ってきたのが区役所の奴だったとすれば、絶対住所は知られている。


グレンのも、当然に知っているだろうが、家に一人でいるよりはまだ、気が落ち着く。



何より、グレンは頼りがいがあるから。




「..わかった。」



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