生存税
「おじゃまします...。」
古びたアパートで、いかにも家賃は安そうな家だった。
ぼろぼろで、今にも崩れそうで危なっかしい。
「そんなよそよそしく入んなよ。」
グレン、もといアランは隼の背中を足で蹴り、部屋に上がらさせた。
「痛った...蹴らなくてもいいじゃん。」
「ちんたらすんなチビ。」
これは、本当にグレンじゃないのかもしれない。
グレンは、こんな暴言を吐くような男じゃない。
もっと温厚で、優しいゆとりのある男だ。
「本当に、グレンじゃないんだ..。」
「だから、さっきから言ってんだろ。とりあえず、そこ座れ。」
彼の指さす方向に、座った。
部屋は一面畳で、僕が言えることじゃないが、とても汚い。
食べたコンビニ弁当やら、何やらがとにかく広がっている。
「単刀直入にいうけど、君は何者なの?」
「...俺は、アラン。グレンは、俺のもう一人の人格だ。」
「もう一人の人格..?」
もう一人の人格って、簡単にいうと、二重人格のようなものなのか?
だとしたら、今まで起こっていたことも全て証明できる。
「そう、二重人格ってやつだ。」