生存税


「だから、ときどき変な時があったんだ!」


「...え?」


「なんか、言葉づかい急に悪くなったり、雰囲気全然違くなったり..」


「いや、そうじゃなくて、信じてんのか?」


「え、うん。」


アランは不思議そうに僕の顔をのぞきこんだ。

きょとんと、眉を潜めて。




すると、アランの口角が突然緩んだ。



「ふっ..そんな簡単に信じる奴初めてだわ。今まで誰にも信じてもらえなかったのに。」


「..信じるよ。それに、僕は漫画家だから、例え非現実的な事だとしてもなんでも現実に考えられちゃうから。」



漫画家という職業柄、ファンタジーの世界では非現実的な事ばかり。
二重人格なんて、僕からすれば普通の事だ。



「ただの馬鹿だな、お前は。」


「な、なんで!?」


アランは、笑った。
こんなにも、僕に笑顔を見せてくれるのは初めてだったかもしれない。
大人っぽくて、綺麗なのに、笑顔だけは無邪気な子供のままだ。




「いつか、おれおれ詐欺にひっかかるな。純粋すぎんだよ」



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