生存税


「...どなたですか?」



上司だろうか。背の高い方が前に出て口を開けた。



「失礼いたします。私達は、この町の管理をしております町役場の者です。本日は、この町に引っ越されてきたということで、この町での仕組みをお話させていただきます。」




「あ、はい...。」



町の仕組みなんてものがあるのか。
随分としっかりしている町だ。




「仕組みといっても、条件なのですが、この町の住む方は必ず国から要求されるものとは別に、この町のみの税金を払って頂かないとならないルールでございまして。」




「税金、ですか。」


「はい。昔からあるルールですので、支払いがない場合は処罰の対象となります。」




国からではない税金って、住民税のようなものなのだろうか。

第一、こうやってわざわざ市役所の人が直々に来るって相当な事だ。



「処罰って、罰金、とかですかね?」



「明確には今はまだ言えませんが、そのようなものです。」



隠す必要なんてあるのか?




怪しげな雰囲気に少し心配になってきた隼。


すると、もう一人の方が、鞄から一枚の紙と取り出した。



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