笑って、なんて。
「私はそうだとは思いません…。ごめんなさい、今日は帰ります」



立ち上がり、走ってその場から離れた。


少しした所で足を止め、呼吸を整える。


ずいぶん前から全力で走っていなかったからか、呼吸が荒い。


きっと私がイラついたことに爽晴さんは気づいていただろう。


自分でもさすがに、勢い余ったと感じる。


怒りは爽晴さんに向けてではなく、自分にだった。


爽晴さんの言っていることは間違ってない。


むしろ、そうだと思う。だけど認めたくなかった。


この2年間叶わない恋だと決めつけてずっと逃げてきた。


それが一番、楽だと。無理に夢見て、期待するより良いと思ってた。


だからあの時、あの言葉を聞いて自分の弱さに腹が立った。


次会ったらちゃんと謝らなくちゃ。
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