笑って、なんて。
まぁ、ここは都会だし、そんなもんか。


細い道を抜けた先に少し明るく色づいた空が見えた。


オルビデに着いたのだ。


朝早くから見たここからの景色はいつもとは違っていてとても新鮮だった。


この世界に誰もいない。私、独りのようだった。



「会いたいなぁ…」



静かにその言葉がこぼれ落ちる。


すぐキレる奴だとか、嫌な奴だと思われてるのかな。



「爽晴さんに…会いたい…」



そんなことを言っても水曜日と土曜日にしか会えないのに。


分かってる。…でも、どうしようもなく今…会いたい。




「千歳ちゃん…?」



「え?」



聞き覚えのある優しい声。


後ろを振り返るとそこには、爽晴さんがいた。



「どうして…」
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