笑って、なんて。
「ずっと逃げていた自分に腹が立ってしまっただけなんです」



「そっか…でも僕が怒らせてしまったことに変わりはないよ。それより、良かったぁ…もう来てくれないのかと思った」



そう言って、ゆっくりと座り込んだ。



「そんな!むしろ、もう来ちゃだめかと思いました」



「いやいや、全然来ていいよ。僕にそんなこと言える権利なんてないからね」



「ありがとうございます。あ、そうだ、爽晴さん携帯持ってますか?良かったらなんですけどライン交換したい…です」



「もちろん。交換しよう」


携帯を取り出し、両方のスマホが揺れる。


画面に爽晴さんのアイコンが写る。


アイコンは、オルビデから見える夕焼けの景色だった。
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