笑って、なんて。
突然、彼はくしゃっとした顔で笑った。



「な、何がおかしいんですか!」


「ごめん、凄い言われようだなって思って。それと黙って聴いててごめんね。でも綺麗な歌声で上手だったから。聴き入いちゃって」



「帰ります!」



せっかくいい場所を見つけたのに。それに、家から電車に乗って30分ぐらいかかる所だったのに~~。



「え、帰っちゃうの!?もう一度聴きたかったのに。……明日のこの時間にまたいるから!待ってる!」



もう来るもんかー!


その日もイライラしながら家へ帰った。


家に帰ると、少女の嫌いな家族がいた。


口が悪くて少女を嫌う妹、妹と同じで口が悪く、こき使ってくる姉、口うるさい母、変なとこでキレる父。


5人家族だ。



「ただいま」



返事は返ってこないけれど毎日言うようにしている。



「ご飯できたから運んで」



母さんに言われて、食卓へおかずを運び出す。


時計を見ると7時30分を回っていた。
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