ぷりけつヒーロー 尻は地球を救う 第1話
ぷりけつのヒーロー!?ぷりけつvsボイン
品川 凜太郎は都内の高校に通う、普通の高校2年生"だった"。あの日までは――
ある日の放課後。長かった授業も全て終わり、やれやれといった面持ちで上履きから靴へ履き替え、1人帰ろうとしている凜太郎。そこに幼馴染の神田 由美がニヤつき顔で背後から凜太郎に気付かれないように近づく。
由美は凜太郎のすぐ後ろまで近づくと、凜太郎の尻を力いっぱい掴んだ。思わず変な声を上げ、慌てて後ろを振り返る凜太郎。
「相変わらずいいケツしてんね、あんた。ぷりけつぷりけつ」
嬉しそうな顔で凜太郎の尻を揉みしだく由美。
「い、いきなり何すんだよ!!びっくりするだろ!てか、毎回毎回人のケツを揉むな!セクハラで訴えるぞ!」
「いいじゃん!減るもんじゃなし」
「俺がもし女で、お前が男だったら完全に犯罪だからな、これ」
「でも実際は私が女で、あんたが男!だから問題なし!!」
「大いに問題あるわ!ていうか、いい加減尻から手離せよ。さすがにうっとうしいわ」
由美の手を強く振り払う凜太郎。
「もう、照れ屋さんなんだから。そうだ!帰りにカラオケにでも行かない?尻揉ませてくれたお礼に奢るからさ」
「わりぃ。今日はもう疲れたから、すぐに帰って休みたいんだ。また今度な」
「そっか。うん、分かった!じゃあ、また今度ね」
「悪いな」
「いいよ、別に。じゃ、また明日ね!」
「おう、また明日」
由美と別れ、1人家路を急ぐ凜太郎。夕陽はオレンジ色に輝き、その陽光で空を幻想的に染め上げていた。
いつもの帰り道。近所で飼っている猫がたまに塀の上を通るぐらいで、人通りも少ない。街灯もまばらだ。後10分も歩けば自宅が見えてくる。
「これ、そこの若いの」
背後から老人の声が聞こえた。不意をつかれた凜太郎は驚きで肩を一瞬ビクつかせてから振り返る。
「そうじゃ。あんたじゃ。ちょっと、いいかの?」
見ると、少し離れたところに白衣を着た70~80代くらいの男性が立っている。立派な白い髭を蓄え、右手には茶色い巾着を持っている。凜太郎にはその男性がお医者さんのように見えていた。
凜太郎は警戒しつつ、男性に近づいた。
「俺に何か用ですか?」
「うむ。なかなかいいケツをしとるな、と思っての」
――このじいさんヤバイ。変質者だ!
そう思った凜太郎は1歩身を引いた。
「すまんすまん。別に変な趣味とかはないんじゃ。1種の職業病みたいなもんじゃ。普通に若いギャルが好きじゃから安心せい。"そっち"の気はない」
「で、用件は何でしょうか?」
「うむ。単刀直入に言うとの、お前さんをスカウトしたいのじゃ」
「スカウト?」
「お前さんはヒーローとかには興味あるかの?ほれ、なんとかライダーとか、ああいうのじゃ」
「え、えぇ。大好きですけど」
実際、凜太郎は特撮ヒーローのフィギュアを集めたり、DVDを買うほどの特撮マニアだった。"ヒーロー"という言葉に自然と胸が高鳴る。
「なら話は早い。君にはそのヒーローになってほしいんじゃ」
凜太郎は男性の言葉の意味を理解することができずにいた。
「あの~……それはどういう意味でしょうか?」
「言葉通りの意味じゃが」
「特撮のヒーロー役、ということですか?」
「まぁ似たようなもんじゃな」
怪訝な面持ちで考え込む凜太郎。
「まぁ百聞は一見にしかず、じゃ。お前さんさえよければ今からワシの研究所に来てみんか?普段は関係者以外は絶対に入れないところなんじゃが、お前さんだけ特別じゃ。どうじゃ?」
目の前のこの男性を完全に信用し切れていない凜太郎はすぐに返答できないでいた。しかし、もしこの男性の話が本当だったら記憶の奥底に封印した、子供の頃からの夢である"ヒーローになりたい"という突拍子のない夢が叶うこととなる。凜太郎にとってこれは千載一遇のチャンスでもあった。凜太郎はこの男性に賭けてみたくなった。
「分かりました。案内してください。でも、完全に信用したわけではありませんから。少しでも変だと思ったら、その場で帰らせていただきます」
「それで構わんよ。そうそう、申し遅れたの。ワシは研究所の所長をしておる"丸田 晋助"じゃ。すまんが、生憎名刺というものは持っておらんでの。おぬしの名前も訊いていいかの?」
「品川 凜太郎です」
「凜太郎……うむ、いい名前じゃ。では案内しよう。こっちじゃ、ついてきなさい。」
コツコツと革靴の足音をさせながら晋助はゆっくりと歩き始めた。凜太郎も後に続く。
一見普通の民家にしか見えない家の前で立ち止まる晋助。平屋で、木造のその家は中に研究所があるようにはとても見えない。表札には漢字で"丸田"と書かれている。
「ここじゃ」
「ここって……普通の家、ですよね?」
「まぁまぁいいから、入んなさい。入れば分かる」
そう言うと晋助は中へと入っていった。躊躇しながらも、凜太郎は晋助の後を追う。
内装も外観同様、普通の家と何ら変わらない様子だった。研究所の"け"の字もない。
――騙された!
そう思った凜太郎は踵を返した。
「帰らせていただきます」
「まぁ待て待て。研究所への入り口があるんじゃ。普段は人目につかないように隠してあるんじゃがな」
「入り口?」
半信半疑に思いながらも、凜太郎はしばらく様子を見ることにした。晋助はリビングにある机を除けると、机のあった場所から2~3歩離れた。
「たしかこの辺りじゃったと思うんじゃが……」
そう言うと晋助は大きく1つ深呼吸をした後、喉の調子を整えるように咳払いをした。
「ぷりけつぷりけつぷ~りぷり!」
晋助が言葉に合わせてお尻を左右に振りながら叫ぶと、机があった場所から聞いたこともないような機械音と共に下へと続く階段が現れた。
これにはさすがの凜太郎も驚きを隠せなかったが、驚きの前に晋助が突然叫び、踊りだしたことに対して引いてしまっていた。
「どうじゃ!凄いじゃろ」
ドヤ顔で自慢げな晋助。そんな晋助から少し距離を置くように立っている凜太郎。
「色んな意味で凄いです」
「そうじゃろう!そうじゃろう!」
「あの、1つ質問してもいいですか?」
「なんじゃね」
「その踊りは必要なんですか?」
「必要か必要でないかでいえば必要ない。気分の問題じゃ。ちなみに、振り付けはワシが考えたんじゃ。どうじゃ?イカすじゃろ?」
「合言葉もそうですけど、もっと、こう……他になかったんですか?」
「ワシの中ではこれ一択じゃったの!」
凜太郎の質問に対して即答で答える晋助。凜太郎はその答えを聞いて溜め息を漏らした。
「そ、そうですか……もういいです」
「なんじゃなんじゃ!若いクセにノリが悪いのう。そんなことでは女の子にモテんぞ!」
「大きなお世話です」
「まぁいいわい。ほれ、こっちじゃ。暗いから足元に気を付けるんじゃぞ」
晋助の後に続く凜太郎。薄暗い階段の先に光が漏れている。それを目指し、二人は慎重に階段を下りていく。
ある日の放課後。長かった授業も全て終わり、やれやれといった面持ちで上履きから靴へ履き替え、1人帰ろうとしている凜太郎。そこに幼馴染の神田 由美がニヤつき顔で背後から凜太郎に気付かれないように近づく。
由美は凜太郎のすぐ後ろまで近づくと、凜太郎の尻を力いっぱい掴んだ。思わず変な声を上げ、慌てて後ろを振り返る凜太郎。
「相変わらずいいケツしてんね、あんた。ぷりけつぷりけつ」
嬉しそうな顔で凜太郎の尻を揉みしだく由美。
「い、いきなり何すんだよ!!びっくりするだろ!てか、毎回毎回人のケツを揉むな!セクハラで訴えるぞ!」
「いいじゃん!減るもんじゃなし」
「俺がもし女で、お前が男だったら完全に犯罪だからな、これ」
「でも実際は私が女で、あんたが男!だから問題なし!!」
「大いに問題あるわ!ていうか、いい加減尻から手離せよ。さすがにうっとうしいわ」
由美の手を強く振り払う凜太郎。
「もう、照れ屋さんなんだから。そうだ!帰りにカラオケにでも行かない?尻揉ませてくれたお礼に奢るからさ」
「わりぃ。今日はもう疲れたから、すぐに帰って休みたいんだ。また今度な」
「そっか。うん、分かった!じゃあ、また今度ね」
「悪いな」
「いいよ、別に。じゃ、また明日ね!」
「おう、また明日」
由美と別れ、1人家路を急ぐ凜太郎。夕陽はオレンジ色に輝き、その陽光で空を幻想的に染め上げていた。
いつもの帰り道。近所で飼っている猫がたまに塀の上を通るぐらいで、人通りも少ない。街灯もまばらだ。後10分も歩けば自宅が見えてくる。
「これ、そこの若いの」
背後から老人の声が聞こえた。不意をつかれた凜太郎は驚きで肩を一瞬ビクつかせてから振り返る。
「そうじゃ。あんたじゃ。ちょっと、いいかの?」
見ると、少し離れたところに白衣を着た70~80代くらいの男性が立っている。立派な白い髭を蓄え、右手には茶色い巾着を持っている。凜太郎にはその男性がお医者さんのように見えていた。
凜太郎は警戒しつつ、男性に近づいた。
「俺に何か用ですか?」
「うむ。なかなかいいケツをしとるな、と思っての」
――このじいさんヤバイ。変質者だ!
そう思った凜太郎は1歩身を引いた。
「すまんすまん。別に変な趣味とかはないんじゃ。1種の職業病みたいなもんじゃ。普通に若いギャルが好きじゃから安心せい。"そっち"の気はない」
「で、用件は何でしょうか?」
「うむ。単刀直入に言うとの、お前さんをスカウトしたいのじゃ」
「スカウト?」
「お前さんはヒーローとかには興味あるかの?ほれ、なんとかライダーとか、ああいうのじゃ」
「え、えぇ。大好きですけど」
実際、凜太郎は特撮ヒーローのフィギュアを集めたり、DVDを買うほどの特撮マニアだった。"ヒーロー"という言葉に自然と胸が高鳴る。
「なら話は早い。君にはそのヒーローになってほしいんじゃ」
凜太郎は男性の言葉の意味を理解することができずにいた。
「あの~……それはどういう意味でしょうか?」
「言葉通りの意味じゃが」
「特撮のヒーロー役、ということですか?」
「まぁ似たようなもんじゃな」
怪訝な面持ちで考え込む凜太郎。
「まぁ百聞は一見にしかず、じゃ。お前さんさえよければ今からワシの研究所に来てみんか?普段は関係者以外は絶対に入れないところなんじゃが、お前さんだけ特別じゃ。どうじゃ?」
目の前のこの男性を完全に信用し切れていない凜太郎はすぐに返答できないでいた。しかし、もしこの男性の話が本当だったら記憶の奥底に封印した、子供の頃からの夢である"ヒーローになりたい"という突拍子のない夢が叶うこととなる。凜太郎にとってこれは千載一遇のチャンスでもあった。凜太郎はこの男性に賭けてみたくなった。
「分かりました。案内してください。でも、完全に信用したわけではありませんから。少しでも変だと思ったら、その場で帰らせていただきます」
「それで構わんよ。そうそう、申し遅れたの。ワシは研究所の所長をしておる"丸田 晋助"じゃ。すまんが、生憎名刺というものは持っておらんでの。おぬしの名前も訊いていいかの?」
「品川 凜太郎です」
「凜太郎……うむ、いい名前じゃ。では案内しよう。こっちじゃ、ついてきなさい。」
コツコツと革靴の足音をさせながら晋助はゆっくりと歩き始めた。凜太郎も後に続く。
一見普通の民家にしか見えない家の前で立ち止まる晋助。平屋で、木造のその家は中に研究所があるようにはとても見えない。表札には漢字で"丸田"と書かれている。
「ここじゃ」
「ここって……普通の家、ですよね?」
「まぁまぁいいから、入んなさい。入れば分かる」
そう言うと晋助は中へと入っていった。躊躇しながらも、凜太郎は晋助の後を追う。
内装も外観同様、普通の家と何ら変わらない様子だった。研究所の"け"の字もない。
――騙された!
そう思った凜太郎は踵を返した。
「帰らせていただきます」
「まぁ待て待て。研究所への入り口があるんじゃ。普段は人目につかないように隠してあるんじゃがな」
「入り口?」
半信半疑に思いながらも、凜太郎はしばらく様子を見ることにした。晋助はリビングにある机を除けると、机のあった場所から2~3歩離れた。
「たしかこの辺りじゃったと思うんじゃが……」
そう言うと晋助は大きく1つ深呼吸をした後、喉の調子を整えるように咳払いをした。
「ぷりけつぷりけつぷ~りぷり!」
晋助が言葉に合わせてお尻を左右に振りながら叫ぶと、机があった場所から聞いたこともないような機械音と共に下へと続く階段が現れた。
これにはさすがの凜太郎も驚きを隠せなかったが、驚きの前に晋助が突然叫び、踊りだしたことに対して引いてしまっていた。
「どうじゃ!凄いじゃろ」
ドヤ顔で自慢げな晋助。そんな晋助から少し距離を置くように立っている凜太郎。
「色んな意味で凄いです」
「そうじゃろう!そうじゃろう!」
「あの、1つ質問してもいいですか?」
「なんじゃね」
「その踊りは必要なんですか?」
「必要か必要でないかでいえば必要ない。気分の問題じゃ。ちなみに、振り付けはワシが考えたんじゃ。どうじゃ?イカすじゃろ?」
「合言葉もそうですけど、もっと、こう……他になかったんですか?」
「ワシの中ではこれ一択じゃったの!」
凜太郎の質問に対して即答で答える晋助。凜太郎はその答えを聞いて溜め息を漏らした。
「そ、そうですか……もういいです」
「なんじゃなんじゃ!若いクセにノリが悪いのう。そんなことでは女の子にモテんぞ!」
「大きなお世話です」
「まぁいいわい。ほれ、こっちじゃ。暗いから足元に気を付けるんじゃぞ」
晋助の後に続く凜太郎。薄暗い階段の先に光が漏れている。それを目指し、二人は慎重に階段を下りていく。