ぷりけつヒーロー 尻は地球を救う 第1話
 その時、研究所内にけたたましい警報音が鳴り響く。突然の警報音に驚く一同。
「どうした!!何事じゃ!?」
慌てた様子で万次郎、敏也、照子がモニターの前の椅子にそれぞれ座り、状況を確認する。
「た、大変です!!か、怪人が……怪人が現れました!!」
「なんじゃと!!場所は!?」
「東京お台場アクアシティの近くだ!モニターに出すぞ!!」
怪人の姿がモニターに映し出される。モニターに注目する一同。そこには水着姿で暴れ回る巨大な女性の姿があった。
「女の……人?」
「あれが怪人じゃ!!言ったじゃろう!奴等の姿は我々とほぼ変わらん!我々と奴等の違い、それは奴等は巨大化できるんじゃ!!早速で悪いが凜太郎君、行ってくれるかの?」
「い、今からですか!?まだ心の準備が――」
凜太郎の言葉を遮るように、敏也が割って入ってくる。
「所長!!早くしねぇと街が!!」
「あぁ!分かっとるわい!!凜太郎君、頼む!!今この星を救えるのは君しかおらんのじゃ!!」
「……分かりました。正直怖いです。でも、やってみます!!」
「よし!!よう言うた!それでこそワシが認めたぷりけつじゃ!!これが変身装置じゃ。これを手首に付けて合言葉を言えば変身できる。変身を解除したい時は装置に向かって"変身解除"と言えばよい」
それは腕時計のような形をしたものだった。晋助が腕時計型の変身装置を凜太郎の左手首に当て、側面のボタンを押すと凜太郎の手首に自動的に変身装置がセットされる。
「外す時は反対側のボタンを押せばええ。それと、合言葉を教えておこう」
「なんだろう……嫌な予感がする」
「ぷりけつぷりけつぷ~りぷり!」
合言葉を言いながら自身の尻を軽快に左右に振る晋助。それを見た凜太郎はドン引きしている。
「やっぱり……」
深い溜め息を漏らす凜太郎。
「その変な踊りみたいなのもどうしてもやらなきゃダメ、ですか?」
「なんとかライダーも、ウルなんとかマンも変身する時にはポーズを決めるじゃろう!あれと一緒じゃ!!」
「なんかちょっと違うような……。それに、わざわざ踊らなくても合言葉さえ言えば変身できるんじゃ――」
「今はとにかく時間が惜しい!右手にある扉の先に転送装置がある!その転送装置の上に乗れば怪人のいる場所まで転送してやることができる!さぁ、急ぐんじゃ!ぷりけつヒーロー 凜太郎よ!!」

――上手いことごまかされた

その時、凜太郎はそう思った。
「照子!転送装置の準備はどうじゃ!?」
「座標確認完了!いつでもいけます!!」
「よし!走れ!凜太郎!!そして、必ず生きて帰ってくるんじゃぞ!!これは命令じゃ!!」
「は、はい!分かりました!!」
転送装置のある部屋まで走る凜太郎。勢いよく扉を開け、中へと入る。扉の先は大人が横に並んで3人程通れるくらいの通路が15mほど続いており、その先に転送装置らしき機械が設置してあるのが見える。
「あれが転送装置か!!」
転送装置まで駆け寄り、上に乗ると変身装置から照子の声が聞こえてくる。
「凜太郎、聞こえる?これを使って私達と通信もできるから覚えといて。後、向こうについたらできるだけ早く変身するのよ!じゃないと怪人にもし見つかったら潰されて終わりだから!!」
「はい!分かりました!!」
「凜太郎、死ぬんじゃないわよ!!勝手に死んだりしたら承知しないんだからね!」
「優しいんですね、照子さん」
「べ、別にあんたのことが心配で言ってるわけじゃないんだからね!勘違いしないでよね!!」
「はいはい」
「て、転送するわよ!準備はいい?」
「いつでも大丈夫です!!」
「転送開始!!」
凜太郎の足元が白く光り輝き、光は凜太郎を包み込んだ。目の前が真っ白になり、外界と完全に遮断される。音も何も聞こえない。ただ白い世界だけが凜太郎の前に広がっていた。
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